コロナ禍をきっかけとして、会食や飲み会の機会は以前よりだいぶ減ってきているようですが、反対に「お酒が好きな人」の中には家飲みで以前よりも量が増えた、という例もみられるようです。
今現在の、スタンダードなお酒への向き合い方とはどういったところなのか、「体に優しい飲み方」について改めてみていきましょう。
見直してみましょう!お酒の飲み方【現代版】
【トピック1】健康被害への注意喚起
WHO(世界保健機関)も「アルコールの健康被害は最大」と警鐘をならしています。
2018年9月に「世界ではアルコールの有害飲用が原因で毎年300万人以上が死亡している」と発表しました。
アルコールの過剰摂取は200以上の疾病や障害の原因になっているとされています。
【トピック2】お酒を飲まないほうが今や多数派!?
「お酒が飲めないのはカッコ悪い」といわれたのはもはや一昔前のこと。現在では「飲まない・やめた」人の割合が多くなっているようです。
平成30年の時点で55.6%の人が「飲酒習慣がない」としており、「酔った姿はカッコ悪い」「お酒を飲むと太る」「お酒は体に悪い」というのが理由にあげられています。
【トピック3】お酒による健康被害の例
1)肥満、メタボリックシンドローム
高血圧、高血糖、脂質異常症、脂肪肝などはお酒の飲みすぎが関係しているというのはよく知られているお話です。
2)うつ、アルコール依存症
アルコール依存症とうつ病や自殺との合併は頻度が高く、社会問題にもなっています。
3)認知症
アルコール依存者や大量飲酒者は脳萎縮が高い割合でみられるといわれています。
また、加齢による記憶力の低下、学習力の低下を促進することもわかっているので、「最近物覚えが悪くて困っている」という場合はアルコールの量を見直してみましょう。
4)アルコールが原因となる病気
がんや肝臓、すい臓の炎症、糖尿病など、飲酒習慣が体に様々な障害をもたらします。
【トピック4】お酒の「効き目」は良い面と悪い面あり
「お酒を飲むとストレス発散になる」というのは一時的なもの。
お酒を飲むことで、睡眠の質が悪くなったり、不眠症やうつ病のリスクが高くなったりと、悪い面での影響があることも見過ごせません。
むしろ飲酒量を減らすことで、寝起きがよくなったり、体調も管理しやすくなったり、また記憶力のアップやブレインフォグ(頭にモヤがかかっている状態)が解消されることも期待できます。
【トピック5】 アルコールの適量を知る
厚生労働省では生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日あたりの平均純アルコール摂取量)を、女性では20g以上、男性では40g以上としています。
また一般的に、週に2日間程度の休肝日を入れることも推奨されます。
※純アルコール換算式 『酒の量(ml)×お酒のアルコール度数%×0.8』
体質によって量は変わりますが、上記の量で納められていると健康リスクが少ないと考えられます。
飲みすぎが気になる方は、これよりもどれくらいオーバーしているか確認してみましょう。
缶ビール5% 350ml(14g)+ハイボール5% 500ml(20g)=34g/日
◎休肝日なし
→1週間に238g(34g×7日)で、目安の2倍以上飲んでしまっている!
◎週末の3日(金・土・日)のみ飲む
→1週間に102g(34g×3日)で、ほぼ適正内!
お酒の飲み方とその量は、1週間単位でも調整するようにできるとよいでしょう。
ステップバイステップで禁酒・減酒にチャレンジしてみましょう
「飲みすぎは体に悪い」と思ってはいるが、なかなか・・・というのが、お酒の難しいところ。
「減らしてみようかな?」「やめようかな?」と思ったときこそ、お酒との関係を見直すチャンス。
無理なく続けられる小さな一歩を踏み出しましょう。
【1】禁酒・減酒の目的は?
「健康になりたい」「お酒代を趣味に回したい」など、何のためにやるのか、目的を明確にすることがはじめの一歩。自分の適正量を知って、無理のない範囲での量のプランを作りましょう。
【2】「記録」して成果を実感
どれくらい飲んでいるか?いつ飲んでいるか?メモしてみましょう。
飲まなかった時の体調や飲みすぎたときの体調や思ったことなどを一言でも書き留めることができればさらによし。お酒の量を知るアプリなども便利ですね。
【3】スマートな断り方を身に付ける
断る技術も、実は飲酒のコントロールに有効です。
「今日は車で来ているので・・」
◎ハッキリと宣言!
「楽しい時間をエンジョイしていますが、今日はノンアル派です!」
◎ちょっと変化球で!
「最近、お酒のデトックスに挑戦しています」
誘いを断るときは、相手の気持ちもくみ取って「あいにく」「誠に残念ですが」「せっかくお誘いいただいたのに申し訳ございませんが」などのクッション言葉を使うよう心がけましょう。
まとめ
「酒は百薬の長」ともいわれていますが、取り巻く環境は一昔前と大きく変わってきています。
お酒以外にも楽しみやストレス発散の機会をみつけ、少しでもお酒によるリスクを減らせるよう、考え方をシフトしていきましょう。
【参考文献】
eヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol-summaries/a-01
減酒.JP
https://gen-shu.jp/improvement/
そろそろお酒やめようかなと思ったときに読む本/垣渕洋一/青春出版社