「代謝が良いと痩せやすい」とか耳にしますが、その実、詳しくは知らない方も多いと思われる「代謝(たいしゃ)」。
肥満予防や疲れにくい体をつくるためにも、「代謝」についてちょっと深堀してみましょう。
そもそも代謝とは、どういうこと?
簡単にまとめると、「代謝」とは体の中で生きていくために行っているエネルギーの合成や分解といった化学反応のこと。人の体では大きく分けて3つのエネルギー代謝が行われています。
1.基礎代謝(1日消費エネルギーの約60%)
内臓を動かしたり、体温を保ったりして生命を維持するのに必要なエネルギーのこと。大きな臓器ほどエネルギー消費量が大きく、大人の場合は肝臓、脳、筋肉の3つがその消費の大半を占めています。
2.活動代謝(1日消費エネルギーの約30%)
身体を動かすことによって消費されるエネルギーのこと。家事や通勤、立ち仕事などでもエネルギーの消費量は大きくなるが、デスクワークや日頃からあまり動ない場合は、活動代謝は低くなります。
3.食事誘発性熱生産(1日消費エネルギーの約10%)
食事をすることによって、吸収された栄養素が分解されて、消費されるときに発するエネルギーのこと。食事をした後に体がポカポカするのはそのためです。といっても、食べ過ぎはエネルギー摂取量の方が多くなるのでここに期待し過ぎない方が無難です。
代謝が良い、代謝が悪い、どんな違いがあるのでしょう?
代謝が良いというのは、体の中でのエネルギー効率の良い状態を指します。個人の体格や年齢などによって大きく異なります。
◎代謝が良い人の特徴
・適切な運動量や筋肉量をもっている(活動代謝が高くなる)
・内臓の働きが活発(エネルギー効率がよく、基礎代謝が高い)
・暴飲暴食せずバランスのとれた食事をしている(体に必要な栄養を補充できている)
・基礎体温が高く、ちゃんと汗をかく(体の機能性が高く、免疫力が高い)
・睡眠をしっかりとれている(睡眠中に代謝を促す成長ホルモンの分泌が高まる)
◎代謝が悪い人の特徴
・疲れやすい(内臓の働きが悪くエネルギー効率が悪い)
・冷え性や低血圧(血液循環が悪い)
・偏食や暴飲暴食の傾向(エネルギー効率が悪く、肥満細胞が増加)
・運動不足(筋肉量の低下で活動代謝量が減少)
基礎代謝が低下してしまうのは・・・。
「生活は変わらないのに太った」
「食事や運動に気を使っているのにやせにくくなった」
と感じる人は多いでしょう。
加齢や生活スタイルの乱れによる体の変化は代謝全体の約6割を占める基礎代謝の低下に大きな影響を与えます。
前と同じ生活をしていても、太りやすくなったり、やせにくくなったりするのはそのためなのです。
◎基礎代謝が低下する主な原因
・年齢
年齢を重ねると内臓の働きも悪くなり、食事バランスに気を付けていても消化吸収がうまくいかず、エネルギー効率が悪くなってしまうこともあります。
・筋肉量
男女ともに20歳をピークとして、1年で約1%ずつの筋肉が減っていくともいわれています。
・不規則な食生活
暴飲暴食は内臓に負担をかけるため、基礎代謝を下げる原因のひとつ。また、夜型生活も成長ホルモンが出づらくなり細胞の生まれ変わるサイクルが悪くなるため、代謝の悪いカラダへとつながります。
基礎代謝を上げる、毎日のチェックポイント!
基礎代謝が高いということは、じっとしていても消費されるエネルギー量が多いということ。
まずは日常の生活スタイルを見直してみましょう。
1.食事バランスに気を付ける
炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素をとることで、人の体はエネルギーをうまく活用していきます。そんな栄養素をバランスよくとり入れるには、主食、主菜、副菜の3点がそろった「定食」がオススメ!しっかりよく噛んで食べることで、栄養も消化吸収されやすくなります。
2.水分はしっかり補給
水を飲むことで血流量が上がり、細胞の活性化とともに代謝がアップします。内臓を温めることによっても基礎代謝アップにつながるので、「白湯」がオススメ。1日1.5~2Lが目安。
3.湯舟に浸かる
シャワーだけより、湯舟にしっかり浸かることで、血流量が上がることにより代謝がアップ。寝る1時間前にリラックスしながら入ることで、睡眠の質もよくなり、成長ホルモンの分泌も促進されます。
4.適度な運動
筋肉量が減少すると基礎代謝量も低下してしまいます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣化することで基礎代謝量もアップします。なかなか時間をとれないという人は日常生活での活動量を増やしてみる工夫をしてみましょう。
まとめ
代謝をアップすることは、肥満予防や健康維持の面で大きなメリットがあります。
そして、その基本は毎日の生活の中に。
日々改善できそうなことを実践し、積み重ねていきましょう。
【参考文献】
・改訂新版栄養の教科書/中嶋洋子医学博士監修/新星出版社
・ニュートン別冊やせる科学/株式会社ニュートンプレス
・厚生労働省/日本人のための食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf