オンタイムもオフタイムも何かと忙しい私たちの毎日。ストレスや前かがみの姿勢で過ごす時間が増えたことによって、呼吸が浅い人が増えていると言われています。
そこで、今回注目するのが呼吸を整えながら、呼吸に関わる筋肉をほぐす「呼吸筋ストレッチ」。
日常的に取り入れやすい方法をご紹介いたします。
毎日を健やかに!ゆっくりと深い呼吸
呼吸が浅くて早い現代人
呼吸が浅い?早い?と言われても、人と比べることがないので、なかなか自分では気付かないものですね。
しかし、長時間のデスクワークやスマホなどで、日頃から猫背の姿勢が続くと、知らず知らずのうちに肺を圧迫し、呼吸が浅くなっている人が増えているようです。
また、日頃から不安を抱えている人は不安の少ない人より呼吸回数が多いことも知られています。
ストレスや姿勢に気を付けるのはもちろんですが、普段からゆっくりと深い呼吸を意識するだけでも、気持ちが落ち着いて少し楽に感じるのではないでしょうか。
呼吸筋ストレッチでゆっくり深い呼吸を目指しましょう
呼吸は、肋骨に囲まれたかご状のスペース(胸郭:きょうかく)が広がったり縮まったりすることで行われています。
そして胸郭を動かしているのが、呼吸筋と呼ばれる20種類以上の筋肉。
この呼吸筋が固くなり、動きが悪くなると、日常的に小さくて浅い呼吸になりやすくなってしまいます。
毎日を健やかに過ごすためにも、呼吸筋ストレッチを行って呼吸筋を柔らかく保ち、胸郭をしっかりと動かしてゆっくりとした深い呼吸を目指しましょう。
呼吸筋ストレッチを始める前に
呼吸筋ストレッチは、ゆったりとしたペースでの呼吸を意識しながら行うのが基本。
まずは、以下の3つのポイントを抑えておきましょう。
1.呼吸に合わせてメリハリをつけて動かす
広げる、伸ばす、縮める、など一つ一つの動作にメリハリをつけて行います。余計なところに力が入っていないか確認しながら丁寧にストレッチしましょう。
2.気持ちよく動かす
回数や時間にとらわれすぎず、まずは気楽にできるものから始めます。気持ちよさを感じられる動きや呼吸ができているか確認しながら行いましょう。
3.基本の呼吸法を心がける
鼻からゆっくり息を吸い、口からゆっくり吐くのが基本です。例えば3カウント数えながら息を吸い、6カウント数えながら息を吐きましょう。(吸う時の2倍の時間をかけて息を吐く)
5分で簡単!呼吸筋ストレッチを実践してみよう!
両足は肩幅に開き、背筋を伸ばして真っすぐに立った姿勢で行います。
1.胸を広げて伸ばす(首の前面と胸の上部の筋肉)
・両手を胸の上部に重ねて置き、そのまま口から息をゆっくり吐く
・鼻から息を吸いながら、胸が反りかえらないよう両手を押さえる
(あごをやや斜め上に突き出し、胸を広げながら背筋を伸ばす)
・口から息を吐きながら、手の力を抜いて最初の姿勢に戻す
2.体幹を伸ばす(胸の下部)
・手を頭の後ろで軽く組み(手のひらを下に向けて組む)、鼻から息をゆっくり吸う
・口から息を吐きながら、手のひらを下に向けたまま腕を上に伸ばし、ゆっくり背伸びをする
・力を抜いて最初の姿勢に戻し、ゆっくりひと呼吸する
3.背中を伸ばす(背中と胸の上部)
・手を胸の上に重ねておき、ゆっくりひと呼吸する
・鼻から息を吸いながら、腕を少しずつ前に伸ばし、背中を丸めていく
(おへそをのぞき込み、大きなボールを抱えているイメージで行いましょう)
・息を吐きながら、ゆっくりと元の姿勢に戻していく
4.胸と体側を伸ばす(胸の横から脇腹)
・片方の手を腰に、もう一方の手は頭の後ろに添えて、鼻から息をゆっくり吸う
・口から息をゆっくり吐きながら、頭に添えている方のひじを持ち上げていく
・ひじからかかとまでがほぼ一直線になるよう伸ばし、息を吐き切る
(腰が横に曲がったり背中が丸くなったりしないように気を付けましょう)
・力を抜いて最初の姿勢に戻し、反対側も同じように行う
5.胸を開く
・手を腰の後ろで軽く組み、ゆっくりひと呼吸する
・鼻から息を吸いながら、肩をゆっくり内側に閉じていく
・口から息を吐きながら、両手を腰から少しずつ離していき、胸を開く
(肩甲骨を中央に寄せるイメージで行いましょう)
・吐き切ったら元の姿勢に戻す
1~5まで、それぞれのストレッチを、3~6回くらい無理のない範囲で繰り返してみましょう。
まとめ
今回ご紹介したストレッチは全て行っても5分程度の短時間でできます。
誰でも簡単にできて、気軽にできるストレッチだからこそ、ぜひ毎日の生活に取り入れて続けてみてくださいね。
【参照文献】
心と体をラクにする呼吸スイッチ健康法 本間生夫著 大泉書店