改めて注意したい、甘い食べ物・甘い飲み物と肝臓ケア

食事編

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食事編

「肝臓への負担」と聞くと、まず飲酒との関連性が思い浮かぶのではないでしょうか。
私はお酒を飲まないから大丈夫、と意外と軽く考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実は飲酒に関わらず、思わぬところで酷使してしまっていることもあるのです。
「沈黙の臓器」とも言われる程、がまん強く働いてしまうのが肝臓です。
今回はお酒を飲まない人にも注意してほしい「肝臓ケア」についてみていきましょう。

普段から意識したい。甘い物と肝臓ケア

お酒を飲まなくても「脂肪肝」?

肝臓に余分な中性脂肪がたまった状態を「脂肪肝」と呼びます。
脂肪肝は以下の2種類に分けて考えられています。

・お酒を飲み過ぎた人がなる「アルコール性脂肪肝」
・お酒を全く飲まない、もしくは少量だけお酒を飲む人がなる「非アルコール性脂肪肝」

実は、お酒を飲まないのに脂肪肝になっている人が年々増加する傾向にあり、日本では脂肪肝全体の9~30%(約1000万人以上)と考えられています。
本来肝臓は脂肪をためておく場所ではありませんが、特にお酒を飲まない人の脂肪肝は、食べ過ぎや運動不足によって「とりいれたエネルギー」よりも「消費するエネルギー」が少なくなってしまうことが原因で、肝臓で中性脂肪が多く作られ、ため込まれてしまう、と考えられています。

 

体に良いと思っていた野菜ジュースも、実は・・・

「脂肪肝」と聞くと、「脂肪」のイメージに引きずられ、アブラのとり過ぎかな…と思いがちですが、実は「甘い物(糖質)」のとり過ぎが原因になっているケースが多くみられます。
特に甘い飲み物に入っている糖分は吸収スピードが速く、急激に血糖値を上昇させてしまいます。すると、上がった血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが盛んにつくりだされ、そのインスリンの働きで必要以上に中性脂肪が増加し、肝臓にため込まれてしまうのです。

スポーツ飲料、乳酸菌飲料、野菜ジュースやエナジードリンク、これら一般に市販されているドリンク類には相当量の糖質(果糖)が入っています。
熱中症予防や健康にいいからと飲んでいた「甘い飲み物」が、実は脂肪肝につながるリスクを大きくしているのです。

【参考】 甘い物が疲労を大きくする?
疲れた時にはついつい手を伸ばしてしまう「甘い物」。
確かに糖分(ブドウ糖)は脳のエネルギー源になりますが、同時に血糖値を急上昇させて、前述の通りインスリンが大量につくりだされます。インスリンによって今度は血糖値が急降下、まるでエネルギー不足のような状態になり、疲労感、脱力感、頭痛、集中力や思考力の低下などを招いてしまうのです。
疲れをとるために食べたはずの甘い物の影響で、数時間後にさらなる疲労感に襲われることに・・・。
この点からも、甘い食べ物・飲み物のとり過ぎを見直した方がよさそうですね。

 

甘い物をコントロールするための5つのアイデア

脂肪肝や肥満の予防には、日常的に甘い物との距離を上手くとっていくことが不可欠です。また脳が疲れてくると食欲自体をコントロールできなくなってしまうこともあります。食生活のバランスやしっかりと休養をとることなど、毎日を整える5つの視点をご紹介いたします。

1.高糖質×高脂質はできるだけ避ける

この組み合わせは、甘いお菓子はもちろんラーメンやジャンクフードなど、脳が喜ぶ背徳的な食べ物によくみられるケース。食べ始めると食欲が増してやめられなくなるので、食べる量や頻度の意識がとても大切です。日常的に食べ続けることは避けましょう。

2.食べたくなったら温かいお茶を飲む

温かいものにはリラックス効果があり、食欲が落ち着きます。ハーブティーやジャスミン茶など香りのあるものがおススメです。

3.食事でのたんぱく質補給を忘れない

んぱく質が不足すると、セロトニンという脳内物質が不足して「甘い物が無性に食べたい!」という欲求が強くなってしまいます。お肉やお魚、大豆製品、卵など、毎食にたんぱく質を補給できるよう意識しましょう。

4.睡眠不足を解消する

睡眠不足だと脳が疲労して、甘い物への欲求が強くなります。疲れがたまっているな、と感じたら、暴飲暴食の前にゆっくり湯舟に浸かって、早めに布団に入る方が得策です。

5.我慢しすぎないで、時には栄養補給できる間食も上手く利用する

食べたいのを我慢しすぎると、ストレスが爆発して余計に食べてしまう結果に。時には栄養のある間食で気持ちを落ち着かせましょう。
おススメは、食物繊維やたんぱく質が豊富なアイテムです。

【例】
ミックスナッツ、高たんぱくヨーグルト、おしゃぶり昆布、魚肉ソーセージ etc…

 

まとめ

お酒を飲んでいないのに肝機能が悪くなっているようでしたら、まず普段の食生活を見直してみましょう。思っていたより甘い物を食べ過ぎていることがあるかもしれません。我慢する一方でなく、ポイントを抑えた工夫で甘い物との適度な距離感をつくれるよう、意識してみてください。

【参考文献】
・NAFLD/NASH(日本消化器病学会ガイドライン)
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/nafld.html
・NAFLD/NASHガイド2023(日本消化器病学会、日本肝臓学会編集)
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/nafld_2023.pdf
・非砂糖甘味料の使用(WHOガイドライン)
https://www.who.int/publications/i/item/9789240073616

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